- 当主
夕顔
すいば106

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源氏物語 巻四 夕顔
光源氏は五条に住む乳母(めのと)の病気見舞に立ち寄る。
正門の開くのを待つ間、むさくるしい五条の家々を見ていた。
乳母の家の西隣の家の垣根に「白き花ぞ、おのれひとり笑みの眉を」ひろげている。
何の花かと聞くと「かの白く咲けるをなむ、夕顔と申しはべる。花の名は人めきて、かうあやしき垣根になむ、咲きはべりける」と答えた。

従者にとらせようとすると、女の子が出てきて、香でいぶしかけた白い扇を渡し、「夕顔の花は、風情のない枝なので、この扇にのせて」という。
乳母の見舞をすませ、その扇を見ると、
心あてに それかとぞ見る 白つゆの
光そへたる 夕がほの花
『あて推量ではございますが、ひょっとして、夕べのつゆのように光るひとのご光来で、夕顔の花が美しく光り輝くのは、あの光源氏さまでは』という歌が美しく書き流されていた。
むさくるしい家の女主人が、どうしてこんな上品な文字を書くのかと気にかかる。
美しすぎて、うちとけにくい上流の姫より、この夕顔の女にひたすら心が奪われていく。
水入らずの時を過ごしたくて五条に近い「なにがしの院」へと連れ出す。
広大な邸には院を預かる者がいる。が、木立は茂りふくろうが鳴いている。ふたりが やすみ、火も消えてまっくら。かたわらの夕顔の女は、わなわなとふるえ正気を失っている。
ひとを呼ぶ。やっと院を預かる者の子がくる。悪魔を祓う弓の弦打(つるうち)を命じ女のもとへ帰ると、すでに息は絶えていた。
夕顔の花、それは朝とともに萎れてしまう。
この夕顔の女も、荒れたなにがしの院の夕べとともに咲き、朝とともに散っていってしまう。この経験で、女は夕顔の花のように心もとなくてこそ「なつかしくおぼゆべき」であると知る。
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佳人薄命を絵に描いたような悲劇的な最後が印象に残る女性。
深夜に女性の霊(六条御息所とも言われるが不明)が現れて恨み言を言う怪異に遭って没す。姫君(後の玉鬘)が一人いる事を知った源氏は、「姫君を引き取りたい」と切り出すが、乳母の子・惟光に制止された。騒ぎになる事を恐れ事を公にせず、しばらくしてから夕顔が暮らしていた家へ向かった源氏。しかし、家はすでに無人だった。
下京区に「夕顔町」というところがある。
平安時代、この地は平安京の条坊では、左京区五条四坊二保五町にあたる。

ストリートビュー と同じ景色(*^^) フフ♪
もう6時半でこの細い通りは真っ暗。

江戸時代に源氏物語の一大ブームがあったそうです。
ですが源氏物語は世界最古の長編小説です。
「源語傳説 五條邉 夕顔之墳」って。。。
この碑は昭和四年(1929)に京都史蹟会により建てられたものだそうです。
このお家の奥に、夕顔のお墓があるそうで、9月16日が「夕顔忌」で、毎年供養が行われているということです。