- 当主
お精霊さん
すいば64
今年は長〜いお盆休みです。
京都では、年に一度の盂蘭盆(うらぼん)に各家にお帰りになるご先祖様の霊のことを親しみを込めて「お精霊さん(おしょらいさん)」と呼びます。
毎年1ヶ月ほど前に千本ゑんま堂から「お精霊迎え」案内が届きます。
閻魔堂狂言で紹介したお寺です。真言宗のお寺ですが、先祖供養は宗派を超えてすることができます。
私の幼少の頃は楼門も狂言の舞台もある立派なお寺でしたが、焼失してしまい、えらいさっぱりした佇まいになってしまいました。
が、そこが京都。お精霊迎えには何処から湧いてきたかと思うほどの人の数で賑わいます。


先祖の戒名を書いた水塔婆(みずとば)を受取り御本尊・閻魔大王様にお参りし奥へと。

本堂裏に廻って水塔婆に朱印を押していただきます。奥に見える束帯姿の像が、このお寺の開基・小野篁公です。地蔵菩薩のお隣に立っておられます。
本堂裏に水場があります。
先ず塔婆の下の部分に三度お水をかけ、柄杓の上に塔婆を乗せ静かに水に浮かべます。
これを塔婆流しと言います。
水の流れる音と蝉時雨。盛夏ですね。

最後に鐘撞堂へ行き、「迎え鐘」を水塔婆の数だけ撞きます。
家では仏壇にお盆のお供え物を並べ、「精霊馬」を作ります。


キュウリの馬はあの世からお精霊さんが速く家に帰って来られますように。
ナスの牛は、ゆっくりあの世に還って下さいますように。
そういう願いを込めて作ります。
宗教行事の一言で片付ければそれまでですが、子供も一緒になり楽しむ昔からの行事です。
まんまんちゃん、あん。

そして、お精霊さんがお還りになるのをお見送りするのが五山の送り火・大文字なのです。
大文字は観光イベントではなく、京都全体が一丸となった夏の京都の一大法要なのです。
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