当主
重陽
すいば41
『万葉集』には157種の植物が登場しますが、菊を詠んだ歌は一首もありません。
これは飛鳥時代・奈良時代の日本には菊がなかったことを暗示します。
菊は観賞用ではなく「不老不死の妙薬」として中国より伝来し、貴族に珍重されました。
『紫式部日記』九月九日(旧暦)に、関白・道長夫人より「特別にあなたに」と頂いた菊の綿(菊についた朝露を綿に浸み込ませたもの)を、「頂いた菊の露に私は若やぐ程度に袖触れるにとどめ、千代の長寿は花の主であるあなた様にお譲りしましょう」と和歌を一首詠みます。
菊の露 わかゆばかりに袖ぬれて
花のあるじに 千代はゆづらむ

今月2日、「おとなのひなまつり」と題し新たな重陽の節句の楽しみ方の宴がありました。


私どもも会場に菊の文様の帯を展示いたしました。菊の文様を身につけると長寿にあやかると言われています。

折しも、その帯が「二〇一八西陣きもの・帯フェスティバル」において京都市長賞を受賞致しました。

