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小石丸


お絹のお話 3

小石丸

 群馬県安中市の白石様方に繭を見学に行った目的はもう一つあります。


「小石丸」という呼称を耳にされた方もいらっしゃるかと思います。

奈良時代から続く日本古来の在来種。 大正天皇の皇后である貞明皇后陛下がまだ皇太子妃だったころ、東京蚕業講習所(現・東京農工大学)を視察になられた際に献上された品種です。

貞明皇后陛下から香淳皇后陛下に引き継がれた小石丸のご養蚕は、やはり美智子皇后陛下にも受け継がれました。 現在も皇居内にある紅葉山御養蚕所で毎年春から初夏に「掃立て」「給桑(きゅうそう)」「上蔟(じょうぞく)」「繭かき」といったご養蚕の各作業をされておられるのです。

その小石丸ですが、極細繊維の糸を吐き、けば立ちが少ない上に糸の張りが強いという高品質のスグレモノ。

欠点としては、産卵数が少なく病気に弱いなど、飼育が難しい上、繭自体も小さく1つの繭から取れる糸は普通のカイコの繭の半分以下で多くて400~500m前後なのです。


小石丸はこういった欠点故に市場から姿を消して行くのですが、小石丸を有名にしたのは美智子皇后陛下の養蚕の儀式のお姿や、奈良時代の繭ということから正倉院裂(しょうそういんぎれ)の復元に小石丸の繭の下賜されていたり、外国からの貴賓に贈る絹織物として、また皇族方のお召し物やローブデコルテなどにご使用になっているということです。

こういった事実が一度は市場から姿を消した小石丸の復活に貢献しました。

小石丸は食欲の乏しい蚕で、給桑といって小石丸の上に桑の葉を敷き詰めて、小石丸が底から桑の葉を食べて上に上ってくるのを待つのですが、食欲が乏しくなかなか上に上ってきてくれません。上ってくるときが繭になる時なのです。





小石丸は優れた 生糸を生む繭です。

正倉院裂の復元には不可欠であるのは当然ですが、極細の糸といっても蚕の吐く1本の糸で絹織物にするわけにはいかず、糸挽き(いとひき)と呼ぶ鍋の熱湯に浸けた繭から解く糸を数本合わせて1本の生糸にしますが、素人目でも識別できるほどの違いは見つけにくいのが現実です。

それが市場から消えた理由であると納得できました。

現代の小石丸復活の要因は、皇后陛下が日本古来の在来種をお護りになっておられる事実と、正倉院裂の復元への使用、皇族方のお召し物への使用という憧れからの需要だと思います。


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